8/31(日) 十文字高校 ●2-3(2-0、0-2 延長0-0、0-1)

reported by 川邊健一

ついに迎えた運命の試合…勝てば天国、負ければ地獄。まさにそういうゲームと呼ぶに相応しい一戦なのではないかと思う。勝つこと、関東大会へ行くこと、それが全てではないが、昨年は出場しなかった大会なだけに、何としても勝たせてあげたい。心からそう願った。相手が強いことは今更言う必要すらないが、相手に勝てる部分もある。それは試合前からずっと言い続けてきたが”総合的なテクニック”と”戦術”である。これ以外の基礎体力や精神力では逆に劣勢であると分析していた。

前半、最初の5分は相手のペース…プレッシャーから冷静さを欠いていたが、次第にスフィーダのペースとなり、つないで、または個人技で、相手バイタルエリアで前を向ける回数が格段に多かった。10分、15分と自分達の時間が長くなると、それと同時に相手を崩せる回数が増えて行った。その中で左からのライナーによるアーリークロスで2列目の選手が飛び出し先制、その後、右サイドからのアーリークロスに次は3列目の選手がタイミングよく抜け出しGKの鼻先で触りループシュートで追加点。3点目がいつ奪えるか?というほどゲームは支配出来ていた。
ボールの運び方、崩し方など、今まで培ってきたものを出し切ろうとするチームの姿勢は素晴らしかった。チームで闘い、チームが1つになり、果敢に攻撃的な姿勢を保つことが出来ていた。しかし、2得点目の直後に靱帯断裂から復帰明けの選手を予定通り交代させたところから流れがおかしくなり始めた。これには理由がある。当初のゲームプラン通りの交代ではあったが、それと同時に選手の個性を活かすため4-4-2の2トップを縦の関係にした。横並びの2トップ2枚で相手CBからのロングボールをケアしていたものが、それと同時に1枚ではケアできなくなり、セカンドボールを拾うため中盤の全員が普段よりも中へ寄り始めた。そして、相手SHがフリーになることが格段に増え、それによりSHから効果的なダイレクトプレーを受けるようになった。こちらが2得点しているということもあり、相手はロングボールの多様を徹底し始め、DFラインの隙間を突かれるようになって行った。その結果として、決定的なピンチも数度あったが、GKの神懸かり的なセーブもあり、なんとか前半を2-0とし、戻ってくることが出来た。

ハーフタイムでは、3得点面を奪えば勝負はつく、もし、1点返されても1点はリードしているわけだから焦らず闘うこと、そして、戦術的な守備面での確認ばかりを行った。今考えれば、この時すでに間違った道に足を突っ込んでしまっていた。

後半、相手は怒涛の攻撃を見せる。CB及びSHからの徹底したロングボールに恐怖し、また、2点差というリードを守りきろうとするチーム。それもそのはずで、それは私がハーフタイムに託したチームへの指示だった。前半終了間際に受けた猛攻に恐怖し、願わくば2点差を守りきろうとしてしまっていた。この年代のチームは不運続きで何とか良い想いをさせてあげたかった、勝たせたかった、、、それだけに私は冷静さを欠いていたのかもしれない。後半開始から立て続けに訪れたピンチもGKを中心とした守備陣の奮闘でギリギリで抑えていく。しかし、あまりにも破壊力のある相手の徹底した攻撃に綻びは出た。1-2となったが、思わぬ形で相手の弱点を見付け出すことが出来た。防戦一方の展開の中、そこの綻びを突き、数回に渡り決定機を迎えたが、得点には至らず1-2のまま推移していく。そして、足が完全に止まり始めた時、ついに同点弾を決められ2-2。そして、そのまま試合終了。

2-2で迎えた延長戦。スフィーダの選手達は足が止まり、相手の勢いは変わらない。それでも精神力で闘い五分五分に近い戦況まで押し戻すことが出来た。時間の経過と共に苦しくなっていくのは分かっていたが、守りきってPK戦ということは考えられなく、きっとどちらかが得点し勝者が産まれるだろうと予想していた。そして、勝者となったのは十文字高校。クリアーミスから奪われ、右サイドを崩されての失点・・・最後まで諦めることなく、その後も果敢に向かって行ったが力及ばず3-2と逆転負けで、この大会は幕を閉じた。

何とか勝たせてあげたかった、なんとか関東大会へ連れて行ってあげたかった。目の前まで”それ”が迫っていただけに何ともやりきれない感情に押し潰されそうだった。勝てるチームだった、なぜ攻撃的な姿勢を継続させなかったのか、、、試合後は自分の愚かさと力の無さを痛烈に感じるしかなかった。チームは勝者に相応しいレベルにあったと思う。それだけに自己嫌悪に陥った。物事は多角的に見てこそ真実が見い出せるものであるが、もう少し私自身のレベルが高ければ何とかしてあげられた可能性もある。それを言ったら、全ての試合がそうなるが、今回は特にそう感じてしまった。私が選択したものが間違いなのか?それとも正しいのか?この先もずっとわからないだろう。ただ、全国レベルの高校チームとスフィーダの中高生が誇らしく闘ったことについて私は誇りに思っている。レギュラーメンバーの中学生5名が、高校生達を助けてくれた。そして、それを支えた高校生選手達、どの選手も素晴らしい選手に成長してくれた。私はそれが素直に嬉しい。今までで一番中学生の多い、一番若いU18選抜チームであったが、チーム力で掴んだパワーは素晴らしかったと自負している。このチームも過去の素晴らしかったチームに負けないだけの素晴らしいチームだったと胸を張って言いたい。そして、私にとっては素晴らしい一時であった。

勝てば勝つだけ忙しくなり、選手達のスケジュールも多忙になります。しかし、それも嬉しい悩みと信じやってきました。全てを掴むことは出来なかったのですが、選手達は関係者の皆様方に背中を押され、どんな試合でも、どんな時でもベストを尽くそうと最善を尽くしてくれました。今回の敗戦を通じ、来年度以降どのようにすべきか?すでにスタッフ間では協議が始まっています。これからも最善を尽くして参りますので今後とも応援のほど宜しくお願い申し上げます。

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