11/18(日) FC ESPERANZA

reported by 山田

第27回東京都女子サッカーリーグ3部リーグ第7節、FC ESPERANZA/TAMA戦。相手は一昨年度まで2部リーグに所属していて、高校生年代を中心とした丁寧なサッカーの印象のあるチームである。昨年度のリーグにおいては試合終了間際にゴールを許し0−1で惜敗している。その敗戦が響き我々は入替戦に回ったという経緯であった。今年度に関してはお互いに勝点を必要とする状況にあり、相手のここまでの試合結果を見ても派手さはないが得点力、失点数からも堅実さが伺える。そうした安定力のあるチームとの対戦ゆえに接戦になる予想ができていた。
前節の勝利からおよそ2週間の間に失点の原因であったビルドアップ時の判断や相手ゴールに迫る攻撃パターンの両面に着手し、1週間前にはトレーニングマッチも行い調整は上々であった。ピッチは横幅が非常に狭く凹凸のあるグラウンド。サイドチェンジのような横へのスペースを使う展開は難しいが、どこからでもクロスが入るという利点やポジションを流れの中で入れ替えやすいというところを確認して臨んだ。
前半、出来るだけ早い段階で得点を狙う我々と引いてカウンターを狙う相手という展開にお互い上下に動く攻防が続いた。相手のプレッシャーは厳しいものではなく外も中も人にはボールが入るが、いつもと比べピッチの凹凸によって攻撃テンポが遅く、サイドにDFを引き寄せることもいかないため、なかなか隙を突くことができなかった。このことを想定して人が入れ替わる動きをつくり、そこへ後続が参加する攻撃を指示していたが、ランニングスピード、判断共に連動性を欠く内容で決定打はほとんど無かった。相手のカウンターに対してはロングボールにFWが単体で追う一発を狙う攻撃であったため、DFラインで食い止めることができていた。お互いに意外性の無い攻撃にも慣れ、時間の経過と共に前半が終了。
ハーフタイム、前線でボールを保持できる選手に入れ替え、全体のバランスを整えられる構成とした。前半の戦況から見るとコーナー付近のスペースが空くため、そこへ有効的に入れる配置となる。ピッチ状況も関係しているとはいえ、流動的な人の動きがなかったことが問題であった。相手DFラインは下がるスピードが遅いため、ゴール前が混戦状態になる前に仕掛けることが先制に繋がると思われた。
後半、ボールを持つことよりも突破する意識の元で攻撃を展開する。前半に比べスピードに乗った状態でチャンスを演出し、相手のゾーンディフェンスに綻びが生じてくる。こちらも選手の運動量が落ちる前にスピードのあるアタッカーを続けて投入し、完全に試合のペースを掴んでいた。前半はスペース優先の判断でプレーしていたため、遅れてサポートに入ってもDFに対応されていたが、この後半は個人が様々な形で仕掛けていったことで選択肢が増えていたように思う。幾つかの決定的なシーンを逃していたが、53分にようやく先制が生まれた。相手DFの背後に出た中央へのパスに抜け出した中盤選手が相手を振り切り、GKとの1対1を決める。これで精神的にも余裕が生まれ、続く55分にはFW選手が中央へ仕掛けたところへ後方から詰めてきていたDF選手がそのまま横取りのような形でミドルシュートを放つ。シュートタイミングが外れたGKは反応が出来ず左隅に決まり、一気に2点差とした。この後の相手の攻撃も守備陣が耐え抜き2−0で勝利を収めた。
前半から得点を狙えるような内容であったが、やはり引いたゾーンディフェンスの隙間を縫うのに苦しんだ試合であった。その解決策を見出すまでに慌てて縦に急いでしまった時間、足を止めてしまう時間が多かったように思う。連携が合わなかったことに関しては、トレーニングを行うカテゴリーが分かれていたことが一番だったとの声が上がっていた。確かにここまではリーグを優先してチーム単独でトレーニングを行ってきた。前節までの連勝はある意味その成果とも言える。しかしチームとしてのパフォーマンスが当初の目標に達したことや、個人の成長も果たせていることから、今後より高い水準のスキルを磨いていかなければならない。チームのレベルを上げるために個人の能力や判断力を高め、それを再びチームに還元する。これは目先の結果を求めていては成しえないことであり、残りの2試合に向けても、入替戦を視野に入れた上でも必要なコンセプトである。こうした苦しい事を経験し、勝利を掴むことでたくましさが増したように思う試合であった。
また、誰がどこのポジションをやっても得点を狙えるようになってきていることは高い評価をすることができる。現にこの日得点を挙げた2名の選手は普段守備的なポジションでプレーしている。自分の個性をどこでも発揮できること、どの位置でも危険やチャンスを察知できる能力はサッカー選手として重要な一面である。今後も2部昇格に向けて選手一人ひとりの成熟度を上げていきたいと思う。

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