2/19(土) 欅SC    

reported by 川辺

今大会の準決勝戦はカテゴリ3が何度となく対戦している欅SCであった。相手との力関係はある程度予想出来ていたが、前日からの雨でグランドコンディションが予期せぬ事態を生み出すことも考えられた。
試合前は先週の試合での反省点とそれの克服について話し、更にグランド状態から考えられるミスを最小限に減らす為に注意点を指示をし送り出した。グランドはぬかるみなどで滑る所やボールが動かない場所などがあり、ここまでトレーニングしてきたことを発揮することは難しいと考えられたが、それでもあえてそれを実行するようにも話した。
前半、開始直後こそ落ち着かない場面が見られたが、徐々にグランドへ適応し、その後は一方的に押し込んでいたと言っていい。このグランドの中でもトレーニングの成果は垣間見れたし、チームの連携・連動性は向上していると確認できた。しかし、どこか形の綺麗なゴールにこだわるようなシーンが多く、なかなか得点には至らない。そして、何よりもこの重いピッチに対するパワー不足を感じさせられることも多く、決定的なシーンで尽くはずすことが多かった。押し込んではいるものの押し込むことによって結果として相手は引いた状態を維持する。そこで必要だったのが、技術でもなくスピードでもなく相手を上回るパワーであったが、現時点での彼女達にそれを望むのは難しい。あくまでも高い技術を駆使するスタイルなだけに、今はそこを追及して技術のみで勝利を得ていくことが重要だ。結局、そのまま0-0のスコアで前半を折り返すことになるが後半へ対する不安や疑問は感じていなかった。
後半、前半にも増してポゼッションしている時間が長く、明らかに試合は支配しているものの、相手は粘り強く守ってきていた。前半に1点でも挙げていれば相手は攻めに出てくるのであろうが、0-0で折り返したことによって、より守備の意識も向上していたのだと思う。前半よりも更に下がった陣形をキープしていたように思う。本来であれば、このような時はDFラインでボールを回し、相手の守備ゾーンを広げるように繋いで行くのだが、この日はグランド状態を考慮するとそのリスクだけは避けて戦いたかった。ボールを下げることよりも相手を圧倒的な攻撃力で押し込み、できるだけ自分達のゴールから遠い場所でのプレーを選択していくことが確実に負けない戦い方であった。まずはボールを失わない、そして、もし失ったとしてもゴールから遠い、この2点が出来ていれば失点は防げる。但し、これだけでは負ける可能性もある。トーナメント戦の為、PK戦が存在するからだ。時間の経過と共にPK戦の可能性も否定できない状況になっていたが、それでも勝てる確信があった。よりゴールに近い位置で戦っていた為に1対2の状態になることが多かったが、それでも振り切れる技術力があったし、決定的なシーンも時間の経過と共に増していったからである。更に根拠のない自信もあった。確実に得点は生まれる、と・・・。これは長きに渡り経験してきた指導者の第六勘と言ってもいいかもしれない。時としてあてにならないこともあるし、それを良い意味で裏切ってくれることもある。ただ、今回に限っては確信としてどこかに間違いないものを感じることが出来ていた。それが的中したのかは不明であるが、後半半ばには個人技から3人を振りきりシュートを放つ。1度は止められたがこぼれ球に中盤の選手が反応し、ようやく1点を挙げた。そして、その直後にコーナーキックにDFが飛び込み追加点。このまま試合を終え2-0で勝利を手中に収めることが出来た。
今回の試合は点差以上に力に差があったと言える。相手も攻撃陣に数名のタレントを要し今後に期待の出来る良いチームではあったが、経験・技術・戦術全ての面で現時点では我々の方が上回っていた。今後、この力関係がどうなるかはわからないが、我々も負けないように日々努力していかなければならない。そして、明日は決勝戦、この短い大会ですら課題は多く出た。少しづつではあるが、毎回の試合で克服してきている面は存在する。明日は最後の試合になるが、優勝という目先のことよりも今後に繋がる『何か』を得るために課題の修正とトレーニングの確認を行って行きたいと考えている。今大会は大会直前に怪我人が続出し、インフルエンザなどで戦線を離脱した選手も多くいる。更に明日は諸事情でまた1名のレギュラーメンバーが来れないが、この正念場をこの選手達がいかに乗り越えるのか?非常に興味深いものがある。決勝という大舞台で一番追い込まれたチーム状態・・・崩壊も招きかねないが、選手達の真の力を見極めたいと思っている。明日が楽しみだ。

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