ゲーム分析レポート

7/8(日) 東京都女子サッカーリーグ中学生1部リーグ 第1節
    VS.フィオーレ武蔵野U-15 ○2-0

reported by 山田岳暁

第32回東京都女子サッカー中学リーグ1部リーグ第1節、フィオーレ武蔵野FC U−15戦。U−14チームで臨む我々にとって、今年度の1部リーグはどれも厳しい戦いになるシーズンだと認識している。対戦相手はどこも最高学年を有しており、フィジカル、メンタル面の成熟レベルに加え、中学2年生から3年生の1年間で得る試合経験値は埋めようのないものがある。特に今節のフィオーレ武蔵野FCは先のU−15選手権関東大会出場チームであり、チームとしての歴史や経験を備えている相手である。勝敗の鍵は、粘り強く攻撃的なディフェンスで主導権を握ることにあると伝え、試合に臨んだ。

前半は開始からボール奪取をめぐる激しい展開の連続となった。特に中盤の主導権争いは、前半の多くの時間帯でポイントになる局面であった。卓越した個人技と前線をうまく使うことのできる相手10番を中心にした、迫力のあるスピーディーなフィオーレの攻撃に対し、数的優位の崩しからサイドの突破でゴールに迫る展開で応戦するも、お互いにチャンスの演出に終わる。双方ともGKの活躍やここぞの決定力に欠けるラッキーな部分もあり、狙い通りの先制点はなかなか生まれないが、終盤にかけて主導権を握ったのはフィオーレであった。相手へのプレッシャーが1歩ずつ遅れることで相手の中盤から裏へ配球される回数が増え、スフィーダの守備陣が高い位置を保つことが難しくなる。奪う位置が低くなることで相手DFへの脅威も薄くなり、自陣で激しいプレッシャーを受け続ける展開が長引いてしまう。幾度となくサイドの選手に高い位置を保つよう指示を送るが、チーム全体が相手の攻撃に対して受けに回ってしまったことが攻撃の脅威を消してしまっていた。前半はこのまま凌ぎ切る形でスコアレスを保ち、後半へと折り返す。

後半は前線の起点を増やすため、システムを変更して臨んだ。また、受けに回ることで攻撃に悪循環をもたらしている事を認識させ、再起を図った。

チームとしての狙いは前半と変わらないが、後半に入り中盤の位置でのボール奪取率が上がったこと、前を向いた選手が自ら仕掛ける意識を持ち、他の選手も長い距離を走るようになったことが流れを引き寄せる要因となった。前半に比べてほとんどの選手が前を向いてプレーできていたため、相手DFの位置も低くなり、シュート数も前半の2倍は増えていた。そんな中、先制点は狙い通りの守備から生まれた。後半18分、DFの高い位置でのインターセプトから中盤の選手を絡め、これに抜け出した2列目の選手がエリア内で落ち着いて流し込む。これで勢いを増し、続いて21分にFWの選手が自らの中央突破で追加点を決める。タイムアップ10分前に待望の得点を挙げたことで、守備陣の集中力も最後まで途切れることはなく、2−0で大事な開幕戦勝利を収めることができた。

試合を総括すると、受けに回ってしまった前半と攻撃的な姿勢を貫いた後半で、ゲーム展開やシュート数が大きく変わった内容であった。システムの要因も関係していたが、守る守備と奪う守備の違いは実際にプレーする選手達の判断でどちらにも転んでしまう。今日の試合を勝利に導いた選手達は、スフィーダU−15選抜メンバーに属していない選手であった。地道に努力を積んできた結果が今日のパフォーマンスと勝利に繋がったことは非常に嬉しく、これからのU−14チームにとってもより厳しい競争が生じると期待している。次節も必ず厳しい試合になるが、闘う気持ちを忘れずに臨みたいと思う。




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