6/11(日) 大和シルフィード98(神奈川県第1代表)

reported by 川邊 健一

全国大会を懸けた最終章は逆の山でFC駒沢との準決勝に敗れた大和シルフィード98。今までに何度も対戦してきた相手であり、お互いに相手のサッカーを知り尽くしている感はある。しかし、我々スフィーダ世田谷U-15選抜チームは今までのスフィーダとは少し異なったサッカーをする。そういう意味では相手に予測しきれない部分もあるはずであり、勝てるチャンスは十二分にあると思っていた。心配なのは体力面のことだけ、、、前半戦で勝負を決められるような点差に広げられることが出来れば勝てると信じていた。
選手達も準決勝での敗戦から立ち直り、上手く切り替えが出来たと思っている。トップチームの選手達からスポーツマッサージも受け、出来るだけのコンディショニングをしていた。チームが一丸となり応援し、このような部分でもサポートしてくれたスフィーダの仲間達に支えられながら関東大会最後の戦いへと向かうことになった。
この3位決定戦までに時間があまりにもなかったことからアップも何もせず、とにかく休ませていたが、試合が始まってみると思っていた以上にスフィーダの選手達が切れており、開始から何度も相手ゴールを脅かすことができた。アップをする余裕はなかったが、浦和レッズのスピードの中で戦っていたことでどんな攻撃にも驚異的なものは感じなかった。開始からすぐに先制点を奪い、スフィーダ主導のサッカーでゲームは進んで行った。これなら勝てる、追加点も時間の問題、全国大会へはスフィーダが行く、、、誰もがそう思ったはずだ。間違いなく我々のペースで試合が進み、勝利を手繰り寄せる中、ただ、1つ気になっていたのはシルフィードの戦い方だった。いつものシルフィードではなく、ほぼ蹴りこみ一辺倒の戦術だった。それが狙いだったのか?それとも我々のプレッシャーがそうさせていたのかはわからないが、どちらにしても徐々に私達を苦しめていった。しかし、その脅威はその時点で気付かずにいたように思う。
前半のサッカーは悪くなかった。中盤の要の選手が負傷退場してからはペースを乱すことになったが、それまでのサッカー、それまでの戦いぶりを考えれば全国まであと一歩の所まで来ていた。ただ、思った以上に自分達のサッカーで前半を戦えたことから選手達の心に隙があったのかもしれない。万全を尽くしたつもりではいるが、どこかで勝利に対して楽観的に考えていたのかもしれない。
後半、前半からのボディーブローのような攻撃が利いていたことに気付いた。いや、気付いたというよりは前半のプレーから体力面での問題を忘れかけていたように思う。いつしか体力的な問題が無いかのように錯覚し、1-0で折り返した後半戦を有利な戦況だと勘違いしていたのかもしれない。もし、前半戦で2点目を取れればそこで勝負は付いていた。これは間違いないことだと思う。しかし、そこで決めきれなかったこと、下手な錯覚で挑んだ後半開始早々に同点弾を決められてしまったことなどで状況は一変し、押し込まれてしまう時間帯が増えていった。後半に関しては相手の放り込みに対して、凌ぎカウンターアタックを狙うというような戦況が続いた。すでに後半戦が始まった時には、体力は限界に差し掛かっていた。いや、前半の終了間際から少しおかしかった。もう反撃する体力が無く選手達は精神力のみで戦い何とか五分五分の戦況に持ち込んでいたが前半戦のような鋭さや運動量は全く見当たらなかった。見方がボールを保持してもサポートに入れない、だから、すぐに奪い返され何度と無く放り込まれる・・・苦しい戦いだった。最終的に延長戦でも勝負が付かず、PK戦へともつれ込んだが、後半戦の戦いぶりだけを見れば仕方ない結果だったと思う。
運命を懸けたPK戦。ここまで来ればそれこそ勝者と敗者が決まる可能性は五分五分、、、そう考えていたが、それは間違っていた。相手は綺麗なインサイドキックで隅に流し込んでくる。1つも触ることなく決着が付いた。このPK戦は技術の勝負だったのかもしれない。
私達は全国大会へ出場することすら適わない、、、正直、これは考えていなかったことだ。我々のチームであれば全国大会へ出場できるはず。いや、今考えても全国制覇を成し遂げられる数少ない可能性を秘めたチームだと信じている。そういうチームを全国大会へ導けなかったことに無力さを感じ、私達は大会を去ることになった。
選手達は力のある限り戦い続けてくれた。だから悔いは無い。しかし、負けたからこそ色々なことを考えさせられる。大会前にも言ったが、何の計算もせず、ただ目の前の相手に全力を出し切り戦うということは、私のエゴなのかもしれない、また、間違っているのかもしれない。今回の大会で一番重要なことは内容よりも結果であり、どういう形にしても全国大会へ行くという事に尽きる。本当にそれを追求するのであれば逆の山へ行くことも選択肢もあったわけだし、また、準決勝の浦和レッズと戦うにしても早い段階で主力選手達を温存させ、3位決定戦に照準を合わせていれば断然有利な状態で戦うことが出来たということもある。計算して戦っていれば全国大会への可能性は広がったはず。少なくとも3決で走れなくなることはなかっただろう。確かにそれを考えなかったわけではない。ただ、私にはそれが出来なかった。いや、可能性としては逆の山へ行こうがレッズ戦で温存していようが負けている可能性はある。もし、それで負けていれば残るものは後悔だけのような気がする。こうして、条件が悪くてもその中で全力を尽くし戦ったことで負けたとしても、それを恥じることも後悔することもない。やはり、自分の信念は正しいものであったと信じたい。
私達はこの結果を悔やむことはあっても後悔はしていない。まだ、力が足りなかったと真摯に受け止め、ここから再スタートを切るだけだ。今回の結果は受け入れがたいものであるし、まさかスフィーダが全国へ行けないとは思っていなかった。これは己の力を過信していたわけでも、他のチームを楽観的に見ていたわけでもない。ただ、私達は自分達の力を信じ、更にここまでそれを証明し続けてきたからこそ自信があったし確信もあった。ただ、大会前に予想した通りに3決へ流れれば体力切れで負けることになるだろう・・・という自分の予想が的中したことに嫌気が差す。しかし、終わってから何を言っても後の祭りにしかならない。この敗戦を乗り越え、私達を越えて行ったチームを応援すると共にそれらのチームを追い越すために私達は新たな道を歩んで行くしかない。

最後になりますがこの場を借りて皆様に改めて厚く御礼申し上げます。多くの方に応援して頂き、またご声援を頂きまして誠に感謝しております。準決勝で浦和レッズを苦しめることが出来たのも、3位決定戦で限界の中、走りきれたのも全ては皆様の応援があったからこそだと思っております。全国大会へ導けなかったことには申し訳なく思っておりますが、選手達は全身全霊、全てを懸けて戦ってくれました。これからも引き続き応援の程宜しくお願い致します。

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