8/13(土) 川崎ウィングス

reported by 川邊 健一

準々決勝は神奈川県1部リーグ所属の川崎ウィングスであった。相手は大学生中心のクラブチーム。非常に難しい試合だと思った。更に前夜から降り続く雨でグランドコンディションは最悪。まともにボールが転がらない状態だった。こういうピッチを考えれば筋力があり蹴れる選手が多いチームが強い。我々は技術力にはある程度の自信を持っているが、はっきりいってこの状態では技術力など全く関係ない。正直なところ不利な要素しか考えられなかったが、自分達に残された僅かな可能性を信じて戦うしかなかった。
試合は開始から相手のスピード、ロングキックに苦しめられる。しかし、こちらもうまく相手の攻撃を凌ぎ、しっかりと相手ゴール前に迫ることが出来ていた。試合はほぼ五分五分であったと思う。前半半ばにはペナルティーエリア内でFWの突破に足がかかりPKを得る。これをしっかりと決め、前半ロスタイムにもフリーキックのチャンスを得て追加点を奪い前半を終える。
ハーフタイムでは選手達に最高の終わり方をしたということと、この点差は忘れるように伝えた。1点目を奪った直後に相手のキープレーヤーが目の色を変えて襲い掛かってきた。中1が多いチームなだけにどこかで私達を見くびっていたのだと思う。しかし、本気になった相手の個人技を止めることは難しく、もし、この点差で勝利に対する安易な確信を得ているとすれば簡単にひっくり返されることが予想できた。奪った2点はセットプレーであり、試合の内容から分析すれば2点差が付くほどの力の差は感じられなかったからだ。
後半、ハーフタイムでは何度も繰り返し伝えたはずの有りもしない安堵感は払拭されていなかった。嫌な予感が的中してしまった。若いカテゴリーなだけに、こういう試合の難しさや点差で相手を判断してしまう経験の無さが出てしまった。開始7分には2失点し同点に追いつかれる。同点にされて目が覚めたのか、ようやく集中力が戻ったが、同点に追いつかれたことで戦い方は非常に消極的なものだった。従って、7割方は相手に支配され守勢を余儀なくされた。しかし、最後まで集中力を保ち何とかPK戦へ持ち込む。しかし、あまりにも流れが悪かった。PK戦で破れ上位入賞の目標は消えてしまった。
この試合では技術力の高さを発揮できる環境ではなかったということが残念だった。このカテゴリーの技術レベルが神奈川県の1部リーグチーム相手にどこまで通用するのか見てみたかった。お互いに雨の日の戦い方をした為に蹴りこみのサッカーに終始したが、前半戦の戦う姿勢というものや闘争心というものには満足している。奪えた2得点は技術的なものではなく、ここまで進歩してきた自分達への自信と強い勝利への念が込められたものだった。経験が浅いだけに悔しい敗戦をしてしまったが、この経験は素晴らしいものだったと振り返っている。苦い経験はチームをより大きく成長させるし、試合終了後の選手達の涙がこの試合への強い精神力を現していたと思う。この経験だけでも尾瀬に来た意味はある。天から地へ突き落とされたような敗戦であったが、それが選手達をまた1つ成長させてくれたと感じている。

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