5/22(日) フィオーレ武蔵野JOY

reported by 川邊 健一

中学生リーグ開幕戦、第1節は先の東京都女子ユース(U-15)サッカー選手権大会にて優勝し、東京都代表として関東大会へ進出を決めているチーム。相手はこの中学生リーグに2チームでエントリーしていて、このJOYというカテゴリーには中3と中1のメンバーがメインの編成という変則的な構成。但し、中3の選手達は先の大会にて主力選手として活躍し確実にチームの中心と考えられる選手達である。そして、その選手達が多くスタメンに名を連ねていた。私の聞いていた話では中1メインのチームだということだったので、試合前にメンバー表を見た時には大きな驚きと強い危機感を覚えた。
私達のチーム編成は中1が多くを占める編成で中3でスタメンに入っていたのは昨年で言うカテゴリー3というスフィーダ内のCチームに当たるチームに在籍していた選手(現在は大きな成長を遂げトップチームと共に練習中)のみ。他は中2が3名で、中1が7名の布陣。相手は東京都の予選を勝ち抜いた経験と実力を兼ね揃えた選手達が多数いるために試合は難しいものになると考えられた。
前半、思いもよらない展開となる。開始48秒には前線からの激しいプレスから先制点を奪い、開始からリズムを掴んだことで、その後も押し込む展開が続いた。特にメンバーの大半を占める中1の気迫溢れるプレーから何度もチャンスを作り、前半半ばにはミドルレンジから中1のFWが追加点を奪うことが出来た。相手は中3の主力選手と中1の経験の浅い選手達の編成であったためにチームとしての連動したコンビプレーはほとんど見られず、個々の能力に頼った戦い方だったように思える。ただ、相手の主力選手達の個性は素晴らしいものがあり、時として個人の破壊力から決定機を許してしまうこともあった。しかし、常に数的優位な状態で守備を行うことが出来ていたので大きく崩れるようなことはないと思っていた。その後、大きなピンチの場面があったが中1のDFが身体を張り死守する。その選手はそのプレーと共に負傷退場することとなったが、そのプレーがあったからこそ2-0の点差をキープすることができ、また、そのプレーがあったからこそ3点目を奪うことが出来た。もしも、そこで失点をしていたら2-1にまで迫られ、逆転されてもおかしくないような勝敗を左右する好プレーであった。この好プレーは1点を守り、1点を奪うことの出来たプレーであり、言わば2点分のプレーであると言える。
後半も流れはほとんど変わらず、中1が中心となり大きな決定機を何度も演出する(攻撃陣は1名を除き全て中1)。ここで得点が奪えればもっと楽な試合展開が出来ていたはずであるが、そこは攻めることは出来ない。それは中1にまだまだ経験が足りないことは承知の上であるし、経験が足りないのを感じさせない程の最高のプレーを見せてくれていたからだ。中1選手全員の闘志溢れるプレー、そして、全てを出そうとする直向な姿勢には大きな満足感を得ている。後半は数々の決定機を外すことで追加点は奪えなかったものの、現在のチーム状態を考慮すればトレーニングの成果も垣間見れ納得の行く内容であった。ただ、追加点だけは奪われまいと思って挑んだ後半戦に1失点したことには悔いが残る。セットプレーからの失点であったが、セットプレーになる前に数々のミスがあり、もう少しの冷静さと技術レベルがあれば回避できるものだったからだ。出来ることであれば最悪でも3-0で試合を終えたいところであったが、相手も力のあるチームであるだけになかなか難しいものがあった。
今回の試合ではチームと中心に成り得る中1の選手や中2のキープレーヤーなど多数の選手を欠いていた状態であった。そして、相手の予想外の布陣に戸惑いもあった。しかし、私の考えを覆すほどの活躍を見せてくれた中1の選手達、更にそれを支える中2、中3の選手達などの活躍には目を見張るものがあった。チーム間のコミュニケーションも最低限の範囲で取れていた。初戦ということを考えると最高の出だしだったのではないかと思う。トップチーム以外のカテゴリは毎年メンバーが多く入れ替わるためにチームとしてのサッカーが出来ない部分が多かった。チームとしてまとまるということが欠けていたし、まとまれても多くの時間を要していた。しかし、今のU-15チームは最初から最低限のことは出来ている。また中1の選手達が多いカテゴリーなだけに夏を越えた時には更なる成長が待っている。そう考えれば、このチームがいかに可能性を秘めたチームなのかがうかがい知れる。非常に楽しみなチームだ。このカテゴリーの選手達の最終目標はリーグ優勝でも目の前の試合に勝つことでもない。当然、それは個々の成長や経験に直結することなので非常に大事な部分ではあるが、一番大切なことはトップチームを目指し直向に努力を続けること、またトップチームに昇格することである。チームとしては高い位置を狙っていくことも必要であるが、選手個々が高いレベルに到達できるのであれば優勝できなくても構わない。今の選手に一番必要な要素はその高い将来性を引き出すことのみ。それだけだ。
今回の試合ではその将来性を大きく感じさせてくれた。そして、確実に大きな力を得られる選手・チームだと実感した。まだ、中学生リーグは始まったばかりであるが、この1勝はとてつもなく大きなものをプレゼントしてくれたと思っている。まだまだ未熟な選手達ではあるが、ここで安堵感を得ることなく常に目の前の相手に敬意を払い全力で挑んで行きたいと思う。私達は常にチャレンジャーとし目の前の相手と戦っていく。選手を信じ、そして、チームを信じやれることをやっていくだけだ。次の1戦も高い意識で望みたい。それが個々の成長への一番の近道だと信じている。

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