4/22(日) FC PAF

report by 川辺

東京都女子サッカー大会準決勝は強豪PAFとのゲームであった。これまで対戦してきた相手も充分に強いチームではあったが、今回のPAFはそれらのチームよりも1ランク上のチームであり、私達の力を測る上では申し分の無い相手だった。経験、パワーなどは戦前から相手に分があることは安易に想定でき、今までの試合の中でも最も難しいゲームになることは予想していた。中学生選手の多数が攻撃の核を握るチームが、PAFのような尊敬すべきチームと対戦できることは非常に貴重な経験となる。それと共にPAFレベルの相手に対してどこまで食らい付く事が出来るかで現在の力が把握できると思っていた。
試合は稀に見る強風の中で行われ風上、風下で流れが変わるものと考えられた。風下からのスタートとなった前半戦に関してはやはり押し込まれる展開となり我慢の時間が続いた。そんな中、開始早々に失点するとその直後にも風に煽られたCKが直接ゴールネットを揺らすという稀な失点を喫してしまった。開始5分強で2失点、3点目を奪われれば勝敗が読める点差になってしまい、そこからPAFレベルの相手を前に逆転する事は非常に困難だと考えていた。従って、我慢の時間だと考え前半を0-2というスコアで折り返す事を第一に考えていた。もちろん、カウンターから数少ない得点機を狙うも経験豊富な相手にすぐに囲まれてしまい冷静な判断力を奪われてしまったことで前半は非常に困難なゲームになったと言えるだろう。
ハーフタイムでは、風上に立つことで相手よりも有利なゲームが出来るだろうと予測し、また風上と言えど相手は攻め手を緩めないだろうという予測の下、相手の背後に出来たスペースを有効に活用していく事を指示した。しかし、ここで1つアクシデントが起きていた。前半の序盤で攻撃の中心選手が腰を強打しており交代を申し出てきた。やむなくフォーメーションと配置を変更し後半に望んだ。
後半はようやく風の力も借りて五分五分の展開にまで持ち込むことが出来たが、それでも若干相手に分があったと思う。マンツーマンでの激しいマークでこちらの自由を奪い、速い展開で前線までボールを運ぶ効果的且つ有効な攻撃には苦しんだ。まともにペナルティーエリアの中にも進入出来ず、進入出来たとしてもすぐに囲まれる・・・理想的な体制でシュートまで持ち込める回数が明らかに少なかった。0-2という戦況の中で前半20分までに得点できれば充分に逆転できるチャンスはあると話していたが20分前のこの日一番の得点機を相手GKにファインセーブされてしまった。これがこのゲームでの大きな分岐点だったのかもしれない。ここでもし得点できていれば逆転の可能性も十二分に存在したと思う。ここではその分岐点を制した相手GKを褒め称えるべきだと思う。その後、ロスタイムに3点目を奪われ、すぐさま4失点目、、、ゲームは前半開始直後と後半終了直後に2失点づつし0-4という大差で大会から去ることになった。
今大会を通じ学べた事は2つある。1つは現段階でのスフィーダの力を把握できた事、次にチームとしての闘う姿勢を学べた事である。まず、1つ目の現段階での力に関しては、やはり、まだまだ普通のチームでしかないという事。世代交代を果たし最初から上手く行くとは思っていなかったが、この新たな選手達の未知なる可能性を過大評価していた部分もあると思う。もちろん、結成当初は期待値自体が低かったため、期待値よりも現実の方が上回る事で選手達も満足していた。しかし、そうした道を歩んできた事で選手達の期待値が徐々に上がり、現実をぼかしてしまったようにも思う。このチームには確かに大きな可能性がある、私が経験してきた事、作り上げてきた物を全て注ぎ込み続ける事で必ず昨年を超越するチームが完成すると信じている。しかし、攻撃の核を担うのが中学生選手という事もあり時間は必要だ。より多くの経験をさせ、多くのことを学ばせていくしかない。目標としては昨年のチームを一年間という歳月の中で越えるという事か。
次にチームとしての闘う姿勢ということであるが、今大会で最もこの部分に力を注いだ。昨年まではチームに絶対的なリーダーが存在し、その周囲を取り囲むリーダー的な要素を担える選手が多く存在した。しかし、現チームはそれらの選手が全員抜けているため、チームとしての試合に臨む姿勢、取り組む姿勢、闘う姿勢といったものが薄いように写る。もちろん個々はそうした姿勢を持っているが、その表現の仕方に躊躇している感は否めない。元々、リーダー的な選手達に付いて行っていた選手達なだけに自分自身がリーダーとなることに抵抗があるのだろう。しかし、私は現在の新チームに絶対的なリーダーは不要だと考えている。絶対的なリーダーではなく、選手個々が個々として自覚を持ち全員がリーダー的な要素を担える貴重な選手へと変貌する事だけを望んでいる。今大会の多くのゲームを消化していく中で選手達は自分の置かれた立場や自覚という部分を少しは理解してくれたのではないだろうか?今のチームは全てを作り直さなければいけない段階であり、やならければいけないことが多過ぎるがそれらを1つ1つクリアーしていく事が今後の力へと還元されることは間違いない。
これらのことを今大会から学び取る事ができた。要は学び前進しなければ何も見えてこない段階にあるということでもある。今のスフィーダは未熟過ぎるが下手な癖がない分、より多くのものを吸収してくれる事になるだろう。期待値が徐々に上がってきているが、それはそれだけチームが成長しているという証拠だとも思う。現段階で今回の結果は良くやったと褒めなければいけないものなのかもしれないが、私はこれが最低限のレベルに達しているとも思えない。だからこそ今は一日も早く私のイメージにチームが追いついてこれるように全てを鍛え直して行きたいと思う。これからのチームに期待したい。

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