4/11(日) 駒沢SC女子

reported by 川辺

東京都女子サッカー大会2回戦は2003シーズンに共に1部リーグ昇格を果たした駒沢SCとの対戦であった。今大会は今シーズンに向けての調整の意味合いが強く、様々な選手にチャンスを与える為にも2チームでエントリーしていた為、決してベストな布陣で挑んだ状況ではなかった。よって、Aチームはメンバーギリギリで戦っていたが、不幸にもこの日はセンターバックの選手が不在で苦肉の策としてエースストライカーの選手の潜在能力を確かめるためにもセンターバックの代役としてエースを守備の要として起用した。当然、これはチームのバランスが崩れることである。前線でボールが収まらないということは本来のチームバランスを崩し、守備に負われる時間帯が長くなることが安易に想定できた。そして、それは戦術的に守ることができないということも意味していた。これがどのように試合を左右するかは分からなかったが、個々の潜在能力を確かめるには絶好のチャンスとなった。
前半、グランド状態が良いとは言えないグランドだっただけにお互いにボールが落ち着かない。やはりチームがバランスを失った状況は開始直後の押される時間帯からも伺えた。前線でボールが収まらないことでいつもの展開は不可能だと覚悟していたが、想定と実戦とでは心理面でより厳しいものがあったと振り返ることができる。しかし、チームというよりも個々の力で守っていたものが安定し始め攻め込める状況を作っていく。前半半ばにはコーナーキックから得点を奪う。しかし、その直後には相手の個人技にDFが対応できずに失点を許す。1-1という展開の中、終盤に差し掛かり、右サイドを突破しセンターリングからヘディングで勝ち越しゴールを奪う。更にロスタイムには前線で粘り強くアプローチし個人技から3点目を奪いハーフタイムに突入する。
ハーフタイムでは様々な心理的な状況の話をし、どのような状況にでも対応できるようにしていくように指示した。
後半、流れが完全に我々にあり、押し込んだ結果、相手のファールでPKを得る。これを確実に決め4-1、選手達は集中していたと思うが、どこかで勝利への確信を抱いていたのではないかと思う。仮に2点目を奪われるようなことがあれば状況は大きく変わるのは想定していたが、ここで相手のセンターリングの上げ損ねがゴールネットを揺らしてしまうことになった。我々が4点目を奪ったことにより相手の戦意は喪失気味であったが、これで息を吹き返してきてしまった。相手に勢いが増し、むしろ我々が劣勢な立場に立たされてしまったかのような展開になる。その後、コーナーキックから追加点を許し4-3。4-1になった直後も数多い決定的なチャンスはあったが、どこかで勝利を確信してしまった選手達に、より高い集中力の中でのゴールへの執着は感じることができなかったように振り返っている。取れるときに取っていれば5-1、6-2という展開も有り得た話であったが、サッカーでは1点が大きく流れを変えることがある。2失点目は相手のミスが失点に繋がってしまったが、うちのGKのキャッチミスということもあった。不運に不運が重なった失点ではあったが、取られるタイミングと取られ方が悪かったのではないかと思う。確かにミスはあったがミスは修正することができる。これ糧に修正していけば問題ないし、失点は誰か個人の責任でもない。試合の流れの中で起こった事故だと私は思っている。その後、何とか踏ん張り4-3で試合を終え勝利を収めることはできた。決して満足できる試合ではなかったし、お互いに激しい試合であったが、修正しなければいけない部分も多く存在した。しかし、それ以上に勉強になったことがある。それはグランド状態の悪い中でプレーできたことである。あのような状況ではとてもじゃないが、いつものようなショートパスは不可能である。その中でどのようなサッカーを行い、効率よく攻めていくのか?というのは非常に勉強になった。この試合は前へ前へということを意識させ、DFラインでのパスも極力控えさせた。また、単調なロングボールの放り込みで攻めていくことも指示したが、選手達はそれによく対応してくれたと思う。初めてのグランドで更にあのような状況だっただけに、かなり苦しかったと思うが話しただけでそれをプレーで実践する選手達の理解力は良かったと思う。いいサッカーが出来たわけではないが、作戦の理解力とそれを実践する力、更に何よりも1回戦、2回戦と全く逆の試合展開だったにも関わらず1点差のゲームを制することができたことはチームにとって大きな収穫であったと感じている。1回戦も2回戦も非常に難しいゲームであったが、これを勝ちきれたことは非常に良い経験であった。
これでベスト4だが次も東京トップ3に入る強豪との試合が待っている。今の自分達にできることを今一度確認し、必ず勝利を収めたいと思う。今の自分達がどこまで東京のトップレベルに近いのか確認できる最高の舞台であると思う・・・。

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